日本国内の宗教の割合は、文化庁の宗教時計調査によると仏教・神道系が90%以上を占めており、キリスト教系は1%程度となっています。
キリスト教は宗教が根本から違うため、葬儀のマナーや作法も仏教系の葬儀とは大きく異なります。
ここではキリスト教の葬儀におけるマナーや作法、お葬式の流れや法要などを解説していきます。いざという時に慌てずに済むよう、ぜひ基本知識を身につけておきましょう。
キリスト教の葬儀におけるマナーや作法
キリスト教の葬儀は、仏教系の葬儀とは内容も形式も大きく異なります。これまで参列したことがない人は事前にマナーや作法を確認しておかないと、当日になって慌てること必至でしょう。
服装は喪服で参列する
日本国内におけるキリスト教の葬儀に参列する際の服装は、厳格なものではありません。しかし、敬意を表すために適切な服装が求められるので、喪服で参列すると良いでしょう。
男性 | 女性 |
---|---|
|
|
また、肌を露出しすぎないように注意することが大切です。特に女性は、肩を覆う服装や、膝丈以上のスカートやドレスを選ぶことが望ましいです。故人やその家族に対する敬意を示すために、派手な服装やアクセサリーの着用は避けましょう。
聖歌・賛美歌は歌える範囲で歌う
故人や家族の希望や教派によって異なる場合がありますが、一般的には聖歌や賛美歌が歌われます。
葬儀で歌われる聖歌や賛美歌は教会で用意されており、参列者は教会で配布される歌集やプログラムを参考に、歌声を合わせることが望ましいです。
キリスト教の葬儀では故人の信仰に基づいて、特定の聖歌や賛美歌が選ばれる場合があります。そのような場合は、教会の聖歌隊や司祭などが案内する場合がありますので、その指示に従います。
なお、キリスト教以外の宗教や信仰を持つ人が参列する場合は「歌を歌わない」または「沈黙する」こともありますが、聖歌や賛美歌は神への感謝の意が込められています。歌う習慣がない人は戸惑うかもしれませんが、特に信仰上で問題ない人は歌える範囲で歌うようにしましょう。
献花を行う
キリスト教の葬儀で献花をする場合、事前に教会や斎場に確認しましょう。
一般的に教会や葬儀会場には、献花台や花立てが用意されています。参列者はそこに花を手向けることができますが、教会や葬儀社によっては特定の花を用意するように指示があるケースもあります。
献花をする場合は、花束を包む紙やリボンの色、デザインにも注意が必要です。献花の際には、深い哀悼の気持ちを表すため、黒や紺色の紙やリボンを使うことが一般的です。
また、献花においては花の種類にも配慮しなければなりません。教会や葬儀社によっては、特定の花を好むこともあるため、献花選びで失敗しないためにも事前に確認は必須であるといえます。花の種類を選ぶ際には、故人や家族に対する敬意を示すため、華やかすぎる花や、生花を避けることを意識するようにしましょう。
なお、献花後には十字を切りますが、信者ではない場合には黙祷もしくは一礼で対応しても問題ありません。
キリスト教の葬儀における御花料とは
仏教系の葬儀に参列する際、参列者はお香典を喪主や遺族に渡します。
キリスト教の葬儀ではお香典がない代わりに、御花料(ごかりょう)というお金の持参が必要です。
御花料とは仏式における香典
御花料とは、故人を偲ぶために教会や会場に飾られる花に対する料金のことを指します。
御花料は、キリスト教の葬儀においては一般的な慣習です。仏教系では焼香を行ため御花料はあまり見られませんが、仏教系の葬儀における香典をイメージすると理解しやすいでしょう。
キリスト教の葬儀では、遺族が故人を偲ぶために花を贈ることが一般的です。花には故人を偲ぶ気持ちや感謝の気持ちを込められており、教会によっては御花料を払うことで故人のために特別な祈りを捧げることもあります。
御花料の金額・相場
あまり馴染みがないことから、御花料にいくら包めばいいのか悩んでしまう人も少なくありません。
しかし、こちらは仏式と同様で、近い親族であれば50,000円~100,000円程度、3親等以上離れているような親族の場合は10,000円~30,000円程度が相場であるといわれています。
相場はあくまで目安であり、故人との関係性や自身の年齢によっても金額は変動するため、それらを意識して決めるようにしましょう。
また、専門家である葬儀社への相談は基本的に無料で行えるため、気軽に相談することもおすすめです。
御花料の表書き
御花料は、キリスト教の宗派によって呼び名は異なります。
カトリック | プロテスタント | 宗派が不明な場合 |
---|---|---|
|
|
|
御花料の表書きには、故人の名前や葬儀の日時、送り主の名前や連絡先などが記載されることがありますが、これは御花料が誰から送られたものであるかを明確にするために行うものです。また、友人・知人の複数人でまとめて渡す際に無理して連名で書くと余白がなくなってしまうため、代表者名のみを記述し「外一同」「他〇名」とするとスマートです。
御花料は教会や葬儀会場の受付で支払いを行う場合が多いため、支払い時に御花料の表書きが必要となります。遺族が御花料を贈る場合には、葬儀場となる教会と相談して、表書きの方法や必要な情報について確認すると安心できるでしょう。
御花料を渡すタイミング
仏式の葬儀で香典を受付で渡すのと同様に、キリスト教での葬儀は会場の受付で持参した御花料で渡します。
故人との関係性によってお返しが異なることは珍しくないため、その点も理解しておきましょう。
キリスト教の葬儀に参列する注意点
仏式の葬儀であっても宗派が違えばマナーや作法も異なるように、キリスト教の葬儀ならではの注意点も数多く存在します。
数珠は持参しない
キリスト教の葬儀において、仏教の宗教的な用具である数珠を持参ことは適切ではありません。
使用されない数珠を持参することは、キリスト教の信仰に反するものとされため注意が必要です。
キリスト教の葬儀においては故人やその家族に敬意を表するため、キリスト教の伝統に沿った行動を心がけるようにしましょう。
お悔やみの挨拶は述べない
キリスト教の葬儀において、お悔やみの挨拶を述べることは避けるべきです。その理由は、キリスト教の信仰において「死は永遠の命の始まり」と考えられているためです。
キリスト教では死後の世界があり、そこで永遠の命を得ることができると信じられています。したがって、教会の葬儀では故人が天国に行くことを祈り、永遠の命を得られるように神に祈りを捧げます。そのため、葬儀においては故人を偲ぶ場であることが重要であり、お悔やみの言葉を述べることは信仰に反すると考えられています。
代わりに、キリスト教の葬儀では、故人が天国に行けるように神に祈りを捧げることが一般的です。遺族や参列者は故人を偲ぶことに焦点を置き、故人の人生を讃えるよう励ましの言葉や、故人との思い出を語るようにすると良いでしょう。
供花は事前に確認する
キリスト教の葬儀では、故人や遺族の関係者、親族が葬儀式場に送る「供花」「弔花」というお花があります。
供花贈る際は、事前に故人の家族や葬儀会社に確認することが重要です。特定の花や色、サイズの指定がある場合もありますので、確認することで失礼のないようにしましょう。
そのほか、供花(弔花)を贈る際には、次のような注意点があります。
宗教的なシンボルを避ける
キリスト教の葬儀では、十字架や聖書などの宗教的なシンボルが一般的に使用されますが、供花や弔花には避けるようにしましょう。
これらのシンボルは、故人やその家族に対して不快な印象を与えることがあります。
花言葉に注意する
供花や弔花に使用する花には、花言葉があります。キリスト教の葬儀では、喪失や哀悼を表す花を使用することが一般的です。
一方で、祝福や幸運を表す花を使用することは避けるようにしましょう。
個人的なメッセージは別途添える
供花や弔花には個人的なメッセージを添えることもできますが、故人やその家族に直接届けたい場合は、別途手紙やカードを添えるなどして、直接手渡すようにしましょう。
弔電の内容を適切にする
仏式の弔電において「重ね重ね」「しばしば」といった、人の死が重なることをイメージさせるような言葉がマナー違反とされるように、キリスト教の葬儀における弔電でもマナーが存在します。
キリスト教の葬儀で弔電を送る際には、仏式の言葉使うことはせず、キリスト教の教えに則った言葉を選ぶようにしましょう。
例えばキリスト教における死は「終焉」ではなく「永遠の始まり」とされており、神によって召天することは祝福と捉えられています。お悔やみの言葉はマナー違反となるため、注意が必要です。
キリスト教の弔電を送る際には、下記のような言葉が良いでしょう。
- 御霊の安らかな眠りをお祈り致します
- 在りし日のお姿を偲び、心より哀悼の意を表します
など
キリスト教の葬儀に参列できないときの対応
人の死は突然訪れるもので、結婚式をはじめとする慶事のように前々から予定して執り行うことはありません。そのため、やむを得ない事情によって葬儀に参列できないことも多々あります。
ここでは、キリスト教の葬儀に参列できないときの対応方法について解説します。
参列できない旨を伝える
まずは参列できない旨を遺族に伝えましょう。
その際の伝え方として、故人が亡くなった後に葬儀の知らせを受けたのが電話であれば電話、メールであれば返信する形で伝えるとスムーズです。
また、参列できない理由を詳細まで伝えると、その内容によっては遺族を傷つける可能性があるため「やむを得ない事情があって」と答えるようにしましょう。
前夜祭だけでも参加する
仏式と同様、キリスト教においても告別式の前に前夜祭(通夜祭)が行われることが一般的です。そこでは納棺式を兼ねていることもあり、遺体へ白い布をかけ、白い花で埋め尽くされます。
お葬式当日は都合がつかず参列できなくとも、前夜祭だけでも参加することで誠意を伝えることができます。
故人との最後の別れとなるため、気持ちを伝えられるよう行動するようにしましょう。
御花料や供花を送る
葬儀に参列できない代わりに、御花料や供花を送ることも故人や遺族に対して気持ちを伝えることができます。
御花料を送る際にはキリスト教用の香典袋の用意や表書きの作法への注意して、供花を送る場合には教会に送っても良いか事前確認を必ず行いましょう。
弔電を打つ
弔電は告別式で読み上げられることが一般的であるため、参列できなくても故人に別れの言葉を伝えることが可能です。
弔電を打つ際にはキリスト教における死の意味を理解し、マナー違反とならないよう注意しましょう。
弔問する
弔意を伝えるべく、後日に遺族の自宅へ弔問することも方法のひとつです。
訪問する際には遺族が悲しみを思い出さないよう控え目な平服を着るほか、手土産の代わりに花を持参するなど意識するようにしましょう。
キリスト教の葬儀の費用相場
喪主としてキリスト教の葬儀を執り行う人の中には、今回が初めてであり「いくらくらい必要なの?」と不安を感じていることもあるでしょう。
キリスト教の葬儀費用は、家族葬で40万~100万円、特別葬であれば200万円以上が相場であるとされています。
また、葬儀を執り行う際には葬儀社に依頼するのが一般的であるため、複数社から相見積もりを取り、より良いプランを探すようにしましょう。
教会へのお礼
仏式の葬儀にお布施があるよう、キリスト教の葬儀においても教会へのお礼を渡すことが一般的です。具体的な金額は定められていませんが、数万円から包むのが通例です。お金を包む封筒は仏式のものを使用せず、無地のものを利用するようにしましょう。
また、包む金額に不安を感じる人は、教会関係者への確認や、依頼する葬儀社に相談することをおすすめします。
オルガン奏者へのお礼
キリスト教の葬儀において、オルガン奏者にお礼を渡すことは一般的ですが、その金額については一律に定まっているものはありません。オルガン奏者へのお礼は、演奏時間や葬儀の形式、地域などによって異なります。
一般的な目安としては、1曲あたり数千円~1万円程度が一般的だとされていますが、複数のオルガン奏者が演奏する場合は、それぞれに対してお礼を渡すことが望ましいです。
お礼の渡し方は、葬儀後に直接手渡す、あるいは郵送するなど、自分にとって都合の良い方法で行えます。その際には、感謝の気持ちをしっかりと伝えましょう。
キリスト教の葬儀における日程・流れ
同じキリスト教式の葬儀であっても、宗派によって日程や流れは異なります。
ここではキリスト教の宗派であるカトリック教会と、プロテスタント教会それぞれの葬儀の流れについて解説します。
カトリック教会
カトリック教会の葬儀・告別式の流れは、次のように進められることが一般的です。
-
-
-
-
STEP1入堂聖歌(葬儀)神父によって聖水と祈りが捧げられ、聖歌と共に神父が入堂します。
-
STEP2開式の辞神父が開式の辞を述べ、葬儀の開祭します。
-
STEP3葬儀のミサ神父による聖書の朗読と説教である言葉の典礼と、遺族が祭壇にパンとぶどう酒を捧げ、信徒が神父から聖体(パン)を受け取る儀式である感謝の典礼が行われます。
-
STEP4入堂聖歌(告別式)葬儀の場合と同様です。
-
STEP5聖歌斉唱参列者全員で聖詩を歌います。
-
STEP6弔辞・弔電紹介故人の略歴と弔辞・弔電の紹介がされます。
-
STEP7献花献花を行います。
-
STEP8遺族あいさつ喪主が感謝の挨拶を行い、火葬場へ出棺します。
-
-
-
プロテスタント教会
プロテスタント教会の葬儀・告別式の流れは、次のように進められることが一般的です。
-
-
-
-
STEP1入場オルガン演奏の中、牧師を筆頭にして棺や喪主・遺族が入場します。
-
STEP2聖書朗読・祈祷牧師が聖書を朗読して祈祷を捧げます。
-
STEP3牧師による説教牧師によって故人が紹介され、その後説教が行われます。
-
STEP4弔辞・弔電紹介思い出を語るような内容で、弔辞・弔電が紹介されます。
-
STEP5祈祷・オルガン奏楽オルガン演奏を聴きながら黙祷します。
-
STEP6告別の祈り・献花牧師が祈りを捧げ、全員で賛美歌を斉唱し、その後献花を行います。
-
STEP7遺族あいさつ喪主が感謝の挨拶を行います。
-
-
-
キリスト教の葬儀におけるその後の法要
仏式において、初七日法要や四十九日法要などが執り行われるように、キリスト教においても葬儀の後に法要が行われます。
ここでは、キリスト教の葬儀におけるその後の法要について解説します。
追悼ミサ・茶話会|カトリック教会
カトリック教会の追悼ミサは、故人のために捧げられるミサであり、故人の魂が天国に受け入れられることを願い、教会の聖職者によって行われるものです。
追悼ミサでは故人に対する祈りや聖歌が捧げられ、故人の生涯や信仰生活についての言葉が述べられることがあります。
ミサの後には茶話会が開かれ、故人の家族や友人たちが集まって、故人の思い出を語り合ったり、飲食を楽しんだりします。
茶話会では故人の生前の思い出を振り返り、故人を偲ぶための時間を過ごすものです。追悼ミサと茶話会は故人を偲び、故人の魂が安らかに眠ることを祈るための儀式であり、カトリック教会において大切な行事の一つです。
万霊節|カトリック教会
カトリック教会の万霊節は11月2日に祝われる祭日であり、亡くなった人々の魂を祈るための日です。
万霊節には故人の霊を偲ぶために追悼ミサが捧げられ、教会の墓地や墓地に設置された霊堂において、故人の墓を訪れることが一般的です。また、万霊節には故人の霊を敬い偲ぶために、花やキャンドルを供えることもあります。
この日は故人たちが天国に受け入れられることを祈り、故人たちの思い出を振り返るための日として、カトリック教会において重要な意義を持つ日となっています。
記念集会・茶話会|プロテスタント教会
プロテスタント教会における記念集会・茶話会は、故人を偲び、故人との思い出を共有するための催しです。
一般的には教会の礼拝堂や集会室などで行われ、参列者は故人との思い出やエピソードを共有したり、故人が信仰した神や聖書の言葉に触れたりすることがあります。また、故人が遺した楽曲を演奏するなど、音楽を通して故人を偲ぶ場合もあります。
茶話会では参列者が軽食を取りながら故人を偲び合ったり、話し合ったりすることが一般的です。これらの催しは故人の思い出を大切にし、故人が生前大切にしていた信仰を再確認することで参列者が心の支えを得ることができる場として、プロテスタント教会において重要な役割を担っています。
キリスト教と仏教の葬儀における違い
下記のように、仏教とキリスト教では死や死後の世界に対する考え方が大きく異なります。
また、宗教者の呼称によっても僧侶や神父・牧師などにも違いが見られます。
宗教 | 死に対する考え | 死後の世界 | 宗教者の呼称 |
---|---|---|---|
仏教 |
|
輪廻転生 |
|
カトリック教会 |
|
|
|
プロテスタント教会 |
|
なし |
|
仏教
仏教の葬儀における死に対する考え方は、「生老病死」という四つの苦しみを克服するために、輪廻転生の中で生まれ変わりを繰り返し、最終的に涅槃に至るという考え方に基づいています。
つまり人は死を迎えることで肉体が滅びても、魂は生まれ変わりの中で永遠に続いていくと考えられているのです。
カトリック教会
カトリック教会では、人間は神の創造物であり、神によって生み出された存在であると考えられています。人間は肉体と魂から成り立っており、肉体は死を迎えることで滅びるものの、魂は永遠に存在し、天国に行くか、煉獄や地獄に行くかによってその後の運命が決まるとされています。
プロテスタント教会
プロテスタント教会では、人間は罪深い存在であり、死はその罪からの解放を意味すると考えられています。死後、信仰者は永遠の命を与えられ、天国で神と共に過ごすことができると信じられている一方で、救済を受けていない人は地獄に落ちるという考え方です。
キリスト教の葬儀でよくある質問
仏教系・神道系が大多数を占める日本において、キリスト教の葬儀には様々な疑問が湧くものです。
ここでは、キリスト教の葬儀におけるよくある質問について解説します。
キリスト教の葬儀において火葬はどうする?
牧師・神父が聖書を朗読し、遺族とともに祈りを捧げ、讃美歌・聖歌を斉唱した後に火葬されます。
本来キリスト教では土葬を基本としていますが、日本では禁止されているため、仏式同様に火葬が行われているのです。
キリスト教の葬儀で香典袋はどうする?
仏式の葬儀では白黒または双銀の結びきりの水引が印刷されている香典袋が使用されますが、これは仏式用であり、キリスト教の葬儀で使用することはマナー違反とされます。
キリスト教の葬儀では白無地や十字架・百合の花が描かれている不祝儀袋を準備し、表書きは「御花料」とするのが一般的です。
キリスト教の葬儀は仏式と大きく異なる
キリスト教の葬儀は仏式と内容や形式、マナーや作法が大きく異なります。
その理由は、死者と死に対する考え方が異なるためです。仏教では死は輪廻転生の一過程であり、生き返ることができるという考えがあります。そのため、仏式の葬儀では、死者を冥福に導くための法要が中心となり、故人の菩提を弔うために仏像や数珠などの仏具が用いられます。
一方、キリスト教では、死後は天国や地獄に行くという考え方です。死者の魂が救われるためには信仰を持ち、罪を悔い改めることが重要視されます。キリスト教の葬儀では、故人の魂の安息や永遠の命への帰還を祈るためのミサが行われ、聖書からの聖句が読まれます。また、故人を讃える花輪や贈り物は控えめにされ、故人の信仰に焦点が当てられます。
このように、死に対する考え方は大きく異なるものの、故人を見送る最後の大切な儀式であるという共通点もあります。喪主や参列者はこうした違いをきちんと理解し、葬儀を執り行うようにしましょう。