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親の葬式代を親の貯金から支払う方法|気をつけないと法律違反になるかも?

親の葬式代を親の貯金から支払う方法 葬儀費用

親の葬式代が発生する際に、多くの人が直面する問題は「親の貯金」をどのようにして葬儀費用に充てるかです。

自身の経済状況だけでは親の葬儀代が払えない場合などは、特に親の貯金に頼りたくなるはずです。

しかし、親の葬式代を親の貯金から支払う方法には、特定の手続きを踏む必要があります。手続きを誤ると法的なトラブルになるリスクもあるため、注意が必要です。

本記事では、親の葬式代を親の貯金から支払う具体的な方法や、注意すべきポイントを詳しく解説します。

本記事を読むことで親の葬式代の支払いに関する疑問や不安を解消し、安心して手続きを進められるようになるでしょう。

親の葬式代を親の貯金から支払う方法

伝統的な木彫りの祭壇に供えられた遺影と供花

親が亡くなった際、葬式代を親の貯金から支払うためには、一定の手続きを踏む必要があります。

ここでは、その具体的なステップについて説明します。

市区町村役場に死亡届を提出する

親が亡くなると、まず初めに市区町村役場に死亡届を提出する必要があります。

死亡診断書と一緒に届け出ることで、親の死が正式に記録されます。

この手続きは、親が亡くなってから7日以内に行う必要があります。

死亡届を提出しないと次のステップで必要となる書類を取得できないため、最優先で行うべきです。

市区町村での届出や必要な書類の流れをさらに詳しく確認したい方は、死亡後の手続きを市役所で行うガイドに手続きのチェックリストを用意しています。

死亡後の手続きを市役所で行うガイド|見落としがちなポイントと手順を徹底解説
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遺産分割協議書を作成する

多くの金融機関は、亡くなった方の預貯金を相続人が引き出す際に、遺産分割協議書を提出するよう求めます。これは、相続人全員の同意を確認するためです。

親の財産をどのように分割するか相続人全員で話し合いを行い、その結果を遺産分割協議書にまとめます。

遺産分割協議書には、以下の情報を含める必要があります。

  1. 相続人の名前と関係性
  2. 遺産の内容と価値
  3. 遺産の分け方についての合意内容
  4. 全員の署名と捺印

当然ながら相続人の承認がないと銀行もお金を引き出せないため、相続人全員の協力が必要です。

相続手続きをスムーズに進めるための委任状の書き方やひな形については、法定相続人による委任状の作成方法で具体例を交えて紹介しています。

法定相続人による委任状の作成方法|円滑な相続手続きのための完全ガイド
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金融機関に申請する

必要な書類が揃ったら、次に金融機関へ手続きを申請します。

このプロセスでは、特定の書類が必要となります。

必要書類 説明
死亡届受理証明書 市区町村役場から取得
遺産分割協議書 相続人全員の署名と捺印が必要
相続人全員の印鑑証明書 有効期限内のもの

これらの書類を金融機関に提出することで、親の口座から葬式代を引き出せるように手続きが進みます。

死亡診断書の取得先や記載内容に不安がある場合は、死亡診断書はどこでもらうのかを読めば入手方法や注意点が分かります。

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葬儀会社へ支払い手続きを行う

引き出したお金を使って、葬儀会社への支払いを行います。

葬儀会社は請求書を発行するため、これを受け取り、指定の方法で支払いを行います。

一般的には、現金や振込、クレジットカードなど、複数の支払い方法が提供されていることがあります。

しっかりと支払いを行うことで、親を見送る手続きが完了します。

もし銀行口座からの引き出しに時間がかかる場合は一時的に別の方が葬儀社に立て替え払いを行い、銀行から故人の貯金が下ろせるようになった段階で、立て替え払いを行った方の口座に建て替えた金額を入金します。

葬儀社ごとの費用や支払い方法の違いを比較しておきたい方は、葬儀社の選び方の記事が参考になります。

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故人の口座から勝手に貯金を引き出すのはNG?

金色の装飾が施された寺院の中で葬儀が行われ参列者が座っている

故人が亡くなった後、その口座に残っているお金は遺産となります。

この遺産を勝手に引き出すことは、多くの法的問題を引き起こす可能性があります。

以下に、その主な問題点を説明します。

ほかの相続人の権利を侵害することになる

遺産は、法的に遺産分割協議を経て相続人に分配されるべきものです。

特定の相続人が勝手に故人の口座からお金を引き出す行為は、ほかの相続人の権利を侵害することとなります。

相続人全員の合意なしに行う引き出しは不公平であり、法的なトラブルを引き起こすリスクがあります。

以下に、相続人の権利に関連する主な事例を示します。

  • 遺産分割協議の合意がない場合
  • 法定相続分が守られていない場合
  • 遺言があるにもかかわらずその内容に反する行為

詐欺や横領と見なされる可能性もある

故人の口座から無断でお金を引き出す行為は、法的に詐欺や横領と見なされることがあります。

このような行為は、刑事罰の対象となり得ます。

法的な対応としては、以下のような手続きが存在します。

問題行為 可能な法的措置
無断での引き出し 刑事告訴
財産の隠匿 民事訴訟
法定相続分の侵害 遺産分割調停

これらの法的措置を避けるためにも、遺産の分配については慎重に行う必要があります。

適切な手続きを踏むことで、相続人全員が納得できる形で遺産を受け取れます。

親の葬式代を親の貯金で賄うための準備

喪服を着た男性が故人の遺影を持ち神聖な雰囲気の寺院の前に立っている

親の葬式代を親の貯金で賄うためには、事前にいくつかのポイントを押さえて準備を進めることが重要です。

予めしっかりと準備しておけば、いざという時に慌てずに済みます。

親の預金を事前に引き出しておく

親が亡くなった場合、その預金口座は基本的には凍結されます。そのため、預金を引き出すためには、遺産相続の手続きが完了するまで待つ必要が出てくるのです。

親の預金で葬儀代をスムーズに支払いたい場合は、葬式代を支払うための資金を親の口座から事前に引き出しておくことが重要です。

  • 親の預金通帳とキャッシュカードを確認する
  • 毎月一定額を引き出す習慣をつける
  • 親の了承を得て、家計の一部として管理する

葬儀保険や生命保険の利用

葬儀保険や生命保険を活用することで、葬式代の負担を軽減できます。

保険に加入していれば死亡時に保険金が支払われるため、葬儀費用に充てることが可能です。

保険の種類 特徴
葬儀保険 葬儀費用専用の保険であり、比較的に低額の保険料で加入できます。
生命保険 広範な保障があり、死亡時にまとまった額の保険金が支払われます。

これらの保険に加入しておくことでいざという時に迅速に資金を確保できるため、親に相談して備えることをおすすめします。

親の貯金を葬儀費用に充当する注意点

白い菊の花が供えられた祭壇の前に飾られている

親の貯金を葬儀費用に充当する際には、いくつかの注意点があります。

適切な手続きを踏まないと後々のトラブルにつながる可能性があるため、事前に確認しておきましょう。

手続きの時間がかかる場合は葬儀社へ立て替え払いが必要

親が亡くなった直後に、その貯金をすぐに使用できるとは限りません。

銀行は死亡の通知を受けると口座を凍結し、届け出や手続きを完了するまでお金を引き出せません。

手続きが完了するまでには時間がかかるため、葬儀費用を親の貯金で賄うにはその間の資金調達が必要です。

このような場合、一時的に自分で費用を立て替えることが一般的です。

立て替え払いを利用する際には、事前に葬儀社との相談が重要です。

立て替えない場合、葬儀費用の負担が一時的に家族にかかることを覚えておいてください。

相続放棄ができなくなるリスクがある

親の貯金を葬儀費用に充てると、その時点で相続を承認したとみなされるリスクもあります。

これにより、相続放棄ができなくなる場合があります。

相続放棄を検討している場合、以下のポイントに注意しましょう。

内容 詳細
相続財産の把握 相続財産の全貌を確認し、負債がないかどうかを確認します。
相続放棄の手続き 相続放棄をする場合は、家庭裁判所でその旨を届け出る必要があります。
貯金の使用タイミング 相続放棄を考えている場合は、親の貯金をすぐに使わないようにします。

特に相続財産の中に負債が含まれている場合、相続放棄を予定しているならば貯金に手をつける前に慎重に検討することが重要です。

相続放棄と葬儀費用の関係について詳しく確認したい場合は、相続放棄と葬儀代の扱い方で手続き上の注意点を解説しています。

相続放棄と葬儀代の扱い方|安心して手続きを進めるための完全ガイド
相続放棄をする際、葬儀代の取り扱いについて困っていませんか?相続財産から葬儀代を払えるか、単純承認に該当しない支払い方法、法的考慮点などを詳しく解説。相続を放棄したいが葬儀代が気になる方に、安心して手続きを進めるための情報を提供します。

親の葬式代を親の貯金から支払うには様々な問題がある

金属製の香炉と抹香皿が置かれた供養のための祭壇

親の葬式代を親の貯金から支払う際には、多くの問題と手間が発生します。

親が亡くなった直後は銀行口座が凍結されます。死亡届が提出されると、銀行はその情報をキャッチして口座を凍結することが多いため、すぐにお金を引き出すことができません。このため、葬式代などの急な費用を親の貯金から支払うのは難しいです。

銀行から勝手に貯金を引き出せないとなると、相続手続きが必要となります。これは時間と労力がかかるものです。

さらに葬式の費用を特定の相続人が支払った場合、その費用をほかの相続人との間で清算する必要があります。相続人間での合意が得られない場合、トラブルが生じることも少なくありません。

また、銀行や金融機関によっては提出書類や手続きが異なるため、事前の確認も重要です。

親の貯金に頼ろうとしても、それがすぐに利用できないと他の方法で費用を工面しなければならなくなります。

以上のことから、親の葬式代を親の貯金から支払うことには多くの問題があり、事前に他の対策も考えておくことが重要です。

最もスムーズに進める方法としては、親の生前に親の了承を得た上で引き出し、家計の一部として管理しておく方法です。ほかの親族や親の信頼がなければ成り立たないお話ではありますが、これが最も親が亡くなった後にスムーズにお話が進みます。