故人と残された人々の心を結び、心の拠り所となる遺影。
遺影は死を連想することから「怖い」「不吉」といったネガティブなイメージがある一方で、祭壇や仏壇に飾られるだけでなく、故人と家族をつなぐ大切なものとしてずっと受け継がれるものでもあります。
そこで本記事では、終活をポジティブに捉えるためのエンディングプロデュースの一環として、撮影の依頼先や写真の選び方、生前にすべき準備・知識について解説していきます。
遺影とは
遺影とは、お通夜や葬儀で祭壇中央に飾る故人の写真・肖像画のことです。
一般的に写真を用いる場合が多いですが、肖像画でも問題はありません。遺影の歴史は諸説あり、日清・日露戦争で戦死者を供養するために肖像画を飾ったことが起源ともされています。
宗教的な意味合いはなく、葬儀の祭壇に必ず飾らなければならないものではありませんが、遺影があることで遺族や知人の方が故人の姿をしっかりと思い浮かべて偲ぶ役割があるため、残された人にとって大切な意味があると言えるでしょう。
遺影はいつまでに準備すべき?
遺影を準備するおすすめのタイミングが厳密にあるわけではないものの、準備が遅すぎてしまうと手持ちの写真で急遽代用する羽目に。
「葬儀の段取りがスムーズだった」「お通夜当日もゆとりをもって過ごせた」と遺族に思ってもらえるよう、遺影を準備するためのポイントを見ていきましょう。
お通夜当日までに準備
お葬式の祭壇中央に飾られている遺影は、お通夜の始まる前までに準備しておきましょう。お通夜は18時〜19時頃から始まることが多いので、遅くても17時までには完了しておくと安心です。
「知り合いの手元に良い写真があるから送ってほしい」と思うこともあるかもしれませんが、お通夜当日までに準備できなければ別の写真で代用してください。
遺影は決めることが多いので早めの準備が必要
遺影の準備は、写真を選ぶだけではありません。人によっては、写真の背景や服装、飾るためのフレームなど決めることは意外と多いもの。
葬儀社や写真館などから背景・服装サンプルをもらい、あらかじめ候補を決めた上で写真の制作をお願いするというやり方もおすすめです。時間がなくて慌てて選んでしまったと後悔しないためにも、早めの準備をお忘れなく。
遺影のための準備リスト
大切な方と突然の別れが訪れた家族は、悲しみの中にありながらも葬儀に向けてたくさん検討すべきことがあり、遺影の写真を1枚選ぶのも、精神的・体力的に負担がかかるもの。
普段から家族の絆を深めつつ、本人の魅力が滲み出る遺影写真の準備として最適な方法を伝授しますから、ひとつずつ見ていきましょう。
事前に家族や本人と相談する
遺影写真を選ぶ際、家族や兄弟(姉妹)、親族によっては故人に抱くイメージがそれぞれ違ったり、数多くの写真から1枚の遺影を決めるとなると予想以上に時間がかかるものです。事前に家族や本人と相談して理想に近い遺影写真を決めておくと、いざという時のために安心です。
普段から撮影して写真のストックを作る
その人らしさが伝わる遺影写真を準備するには、普段から様々なシーンをこまめに撮影して保存しておくことがポイントです。
例えば以下のような場面で撮影する習慣を作ってみましょう。その人の表情や魅力をはっきり残すことを意識して撮ってみてください。
- 家族旅行
- 親戚や友人が集まる食事会
- 同窓会
- 趣味の発表会
- 季節ごとのイベント
など
家族間で写真を共有しておく
旅行や食事会など何か楽しい話題を聞いたときは、ぜひ家族間で写真を共有しておくと良いでしょう。
「パスワードが分からないために、ロックが解除できず写真データが取り出せなかった」という残念な事態に陥らないためにも、普段みんなが使っているSNS無料サービス(LINEなど)の活用もおすすめです。
家族のグループLINEを作っておき、日頃から写真付きで情報共有をしておけば、家族間の普段のコミュニケーションにも役立ちますし、何より無料で思い立ったらすぐに写真が送信できる点がメリットです。
定期的に遺影の候補を決めておく
遺影には亡くなる直前に撮影した写真が望ましいと考えられていますが、長年の闘病で顔の様子が変わってしまったということもありますので、元気な頃の写真を定期的に撮って遺影の候補を決めておくのがおすすめです。旅行や食事会など定期的に写真の候補をアップデートしておくと安心ですね。
遺影はどこに依頼して撮影するべき?
遺影の撮影するにあたっては、主に「業者依頼」と「自撮り」の方法があります。写真専門の業者に依頼すれば、費用はかかるもののクオリティの高い遺影を制作してもらえますし、自分で撮影して加工することができれば、お金をかけなくても満足のいく立派な遺影写真が作成できます。
最近では、終活の一環として「生前遺影」という言葉もあるように、生前に遺影写真を作ることは決して縁起が悪いことではなく、前向きな人生の終え方として広まりつつありますから、どこに撮影を依頼するかは、近くの写真館やフォトスタジオの見積もりを見比べながら決めても良いでしょう。
遺影専門のフォトスタジオ
遺影専門のフォトスタジオでは、プロのカメラマンが照明を使って、シュチュエーションやポーズやアングルを変えながら撮影してくれます。プロの手にかかれば、日常の延長線上の美しさ・格好良さを最大限に引き出した遺影写真を残すことができるでしょう。
美容室サロンと衣装フロアを併設するスタジオであれば、別途料金はかかるもののヘアメイクや衣装レンタルも可能。料金やサービス内容はお店によって異なりますから、事前に確認しておくと良いでしょう。
以下は、遺影写真フォトスタジオの料金表の一例です。
スタジオ名 | 最低料金(税別) | セット内容 | データ | ヘアメイク | 衣装レンタル |
---|---|---|---|---|---|
A | 5,500円 | 撮影料のみ | 4,400円 | 3,000円 | 8,800円 |
C | 11,000円 |
|
無料 | 5,500円 | |
B | 9,980円 |
|
無料 | オプションなし | |
D | 4,000円 | 撮影料のみ | 2,500円 |
一般の写真館
一般の写真館でも、5,000円~1万円前後で遺影の撮影を依頼することが可能です。撮影メニューに遺影撮影がある写真館もあれば、メニューには掲載されていなくても撮影してくれる写真館もあります。
コーディネートしてくれるスタッフが在籍する写真館であれば、衣装レンタル・ヘアセット・メイクの依頼することもできますので、お近くの写真館に確認してみましょう。
自分で撮影する
人に写真撮影をしてもらうことが苦手な方や手軽に遺影撮影を行いたい人は、自宅や屋外で自撮りしたり家族に撮ってもらうことも可能です。
自分で遺影を作る場合は、注意すべき点も。引き続き以下を確認していきましょう。
遺影を自分で作る方法
以下のいずれかの機材を使って、自分で遺影を撮影することができます。
- スマートフォン
- デジタルカメラ
- 一眼レフカメラ
自分らしい遺影を制作するためには、服装・背景を選ぶコツや加工のテクニックも必要となりますから、それぞれ確認していきましょう。
表情や服装
昔は家紋付きの和服やスーツを着た写真を遺影に使用することが一般的でしたが、現在その傾向は無くなりつつあるようです。その人らしさが伝わるような遺影写真を撮るための表情・服装のポイントは以下のとおり。
項目 | 内容 | 注意点 |
---|---|---|
表情 |
|
|
服装 |
|
|
背景
遺影の背景について、厳密なルールはありません。屋内では、白い壁や淡い青色のカーテンなど単色の場所を有効活用するのも良いですし、海、山、空などの自然風景もおすすめです。自然光が入る場所で自撮りに挑戦してみましょう。おすすめの色・風景は、以下のとおり。
項目 | おすすめ | ポイント |
---|---|---|
色 |
|
|
風景 |
|
|
加工するポイント
写真を加工するポイントを押さえて、満足の一枚を作成しましょう。全体の手順は以下のとおり。
順番 | 内容 | ポイント |
---|---|---|
1 | 全体の明るさや色合いを整える | 一ヶ所に強いフラッシュがあたる写真や全体的に暗い写真は避ける |
2 | 写真上のキズやホコリを修正する | 服装部分の色合いなどを加工するにあたり、別の服装に着せ替えを行ってもOK |
3 | 写真の背景や着せ替えを行う | 写真の主役はあくまで故人本人なので、派手な背景は避ける |
4 | サイズを調整する |
|
おすすめの画像編集ツール
画像編集ツールを使えば、遺影写真がプロ並みの仕上がりに。無料で使えるツールもありますから、積極的に活用してみましょう。
種類 | 価格 | 特徴 |
---|---|---|
Photoscape | 無料 |
|
Pixlr | 無料/有料プラン |
|
Photoshop | 24,000円〜66,000円/年 |
遺影写真以外にも様々な用途で使える |
遺影の選び方
遺影の選び方として何よりも大切なことは、故人の表情がはっきりと写っていること。カメラ機能の「スペック」を味方に付けて、あなたらしい自然体の笑顔を後世に残してみませんか?
ピントが合っている
遺影写真を作る上で、ピントが合っていることが最も重要です。ピントがきちんと合っている遺影を見た遺族や参列者は、思わず故人と対面しているような気持ちになることでしょう。
反対に、ピントがズレていると、写真を大きく引き伸ばした際に被写体がさらにぼやけて残念なことに。老眼などによって、画像のピントが合っているか自分で判断するのが難しい場合は、家族など複数の人に写真を確認してもらっておくと安心ですね。
画素数が適している
遺影写真の画素数として、原寸大で200万画素以上を目安に選ぶのがポイントです。
祭壇用の遺影は、4つ切りサイズ(25.4cm×30.5cm)にまで引き伸ばしますので、解像度の低い(ピクセル数が小さい)写真は、引き伸ばしたときに画質が粗くなってしまいます。同じ画素数であっても、スマホやデジカメよりは一眼レフカメラで撮影した写真の方がより綺麗に仕上がるようです。
自分で写真を大きく印刷したい場合は、念のため以下の方法で画素数を確認しておきましょう。
種類 | 方法 |
---|---|
パソコン | 画像を右クリック 【windows】「プロパティ」を選択→「詳細」または「概要」をクリック 【Mac】「情報を見る」を選択 |
スマートフォン | 【android】ギャラリーのメニューから「ファイル情報」を選択 【iPhone】標準アプリの「ファイル」から確認 |
故人が自然体で写っている
家族や友人と楽しく過ごしているとき、趣味を満喫しているときの表情や雰囲気は自然と笑顔になるもの。一般的には、正面から撮影することが多い遺影写真ですが、故人の魅力を引き出すためにあえて正面以外の角度から撮るもの良しとされています。
人柄が醸し出された自然体の遺影は、故人がずっとそばで見守ってくれているような安心感を与えるでしょう。
亡くなる5年以内に撮影している
人生を全うしたことの証になる遺影は、亡くなる5年以内に撮影した写真が望ましいとされています。とはいえ、長年の闘病生活を余儀なくされた場合などは、顔が変わってしまったり一気に老け込んだりすることもありますから、家族や本人と相談して元気だった時期(5年~10年以内)の写真を使っても問題ありません。
ただし、若過ぎる写真は選ばないようにしましょう。生前の姿との差があまりにも大きいと、参列者に違和感を与えてしまいます。
遺影に適した写真サイズ
遺影写真のサイズについては決まりはないものの、葬儀の際に後ろの席でも祭壇に飾られた遺影がはっきり見える程度の大きさが必要です。一般的な遺影のサイズを見ていきましょう。
4つ切りサイズが多い
一般的な遺影写真のサイズは、4つ切りサイズ(25.4×30.5cm)が多いです。斎場の部屋の広さによっては、A4サイズ(21.0×29.7㎝)でも問題はありません。
葬儀が終わって、リビングや仏壇周り用に置く遺影であれば、L判サイズ(8.9cm×12.7cm)でも良いでしょう。
必要なら引き伸ばせる
「突然の不幸で、あらかじめ遺影の準備ができなかった」という場合は、プリントショップで手持ちの写真を加工して大きく引き伸ばすことが可能です。
写真に直接手を加えるのではなく写真をスキャニングして、画像データを修整・加工することで、新たに遺影用の写真を作るもの。引き延ばしても綺麗な仕上がりにするために、故人の顔が10円玉サイズ以上の写真を持参しましょう。
遺影の料金相場
遺影の料金相場は、作り方・装飾のグレードによって差があります。葬儀会社によっては遺影撮影の準備が葬儀プランに組み込まれていることもあるため、事前の確認をお忘れなく。
葬儀社に依頼する料金相場
遺影写真を依頼する場合にかかる料金相場は、業者によって差があります。装飾のグレードを上げれば、当然のことながら下記の相場よりも料金が高くなりますので、葬儀社と相談のうえ決めましょう。
依頼先 | 料金相場 |
---|---|
葬儀会社 | 約1万~3万円程度 |
フレーム・額縁の料金相場
遺影写真の撮影だけでなく、フレーム・額縁・リボンなどの装飾代として5,000円ほどかかるようです。グレードによっては、さらに高くなります。
写真加工の料金相場
既存写真を加工処理して遺影写真を作るだけの場合は、以下の料金がかかります。
依頼先 | 料金相場 |
---|---|
プリントショップ | 5,000円~7,000円程度 |
遺影に適したフレーム・額縁
遺影のフレーム・額縁といえば「黒の漆塗り」が定番ですが、本来はフレームの選び方に決まりやマナーはなく、最近ではインテリアを重要視して黒以外の色や素材のフレームを自由に選ぶ人も増えています。
遺影の素材として、以下のようなものがあります。故人の雰囲気や趣味に合わせて選びましょう。
- 木製
- アルミ製
- 樹脂製
- アクリル製
など
葬儀に対する考え方も多様化した現代において、フレームのカラーも以下のとおり。
- 黒
- 白
- 茶色
- パステルカラー
など
ただし、赤やゴールドなどの派手な色や華美すぎるデザインのものなどは参列者に不快感を与えることもあり、遺影としては適さないので注意しましょう。
遺影を飾るのはよくない?
遺影は決して不吉なものではありませんが、風水的に縁起が良くないと思う人もいるようです。遺影を飾るかどうか、飾るとしたら場所はどうするかについて、家族で話し合って決めるようにしましょう。
ただ、仏間がある場合の注意点として、仏壇の中・真上に飾るのはタブーとされています。仏壇の中は、仏教では浄土の世界を表しており、ご先祖様が入っているところ。その中や真上に飾るのは失礼にあたるためです。
遺影を飾るのに適した場所
基本的に、遺影はどこに飾っても問題ありません。以前は仏間の天井に先祖代々の遺影を飾るものでしたが、現代では住宅事情などから和室や仏間がない家も多くありますので、遺影の置き場所については家族と話し合って決めましょう。遺影の飾り場所に適した3つの箇所をご紹介します。
仏壇の周辺
亡くなって49日を過ぎた後は、仏壇の周辺に置くことが多いです。仏壇の位牌(死者の祭祀のため、死者の戒名や法名、法号などを記した木の板)やご本尊と重なる中央ではなく、左右にずらした場所に置くようにしましょう。
床の間
床の間は日本の住宅のうち格式が最も高い客間などに設けられる空間で、掛け軸や活けた花などを飾る場所。「天国から見守ってくれるように」と願いを込めて、格式の高い床の間に遺影を飾るようになったとされています。
リビング
そもそも遺影とは、故人の生前の様子に思いを馳せられるアイテム。宗教的な意味はありませんから、残された家族や親戚が訪問した際に故人を親密に感じることができるよう、リビングなど身近な場所に飾っておくのも良いですね。
遺影はいつまで飾る?
遺影をいつまで飾らなければならない、という明確な決まりはありませんが、ひとつの区切りとして以下を参考にしてみてください。
四十九日まで飾る
仏教の思想では、死後49日間は故人の魂がこの世で過ごすと考えられていることから、遺影も四十九日の法要まで飾っておくのが一般的。
四十九日の法要が終わったら、仏間や床の間・リビングなどに置いたり、処分しても構わないとされています。
使うときに備えて保管する
四十九日の法要を過ぎたら処分しても構わないとされていますが、宗派によっては初盆や法事の習慣もあり、遺影を使うときに備えて保管しておくのが賢明です。自己判断でいらないからと勝手に処分すると、後々親戚とのトラブルになることもあるので注意しましょう。
遺影の処分方法
遺影自体には仏教的な「魂」は入っていないとはいえ、遺族や参列者がその写真を見て手を合わせてきたがために、「想い」が込められた遺影を粗末に扱うことには抵抗を感じてしまうもの。
特にミニマリスト(必要最小限の物だけで暮らす人)でありながら遺影を捨てることに抵抗を感じる人は必見。おすすめの処分方法を伝授していますので、早速見ていきましょう。
ゴミとして廃棄する
住宅事情などから自宅に飾るのも難しいときは、地域のルールに従ってゴミとして廃棄処分しても構わないとされています。一般的な分類は、以下のとおり。
項目 | 分別 |
---|---|
写真 | 可燃ごみ |
フレーム・額縁 | 不燃ごみ |
なお、遺影を白い紙や布で包んで塩をかけるとお清めの効果がありますので、多少は抵抗感が和らぐかもしれません。
お焚き上げしてもらう
遺影には宗教的な意味はないものの、お寺や神社に遺影の供養をお願いする方法があります。きちんとお焚き上げをしてもらえば安心して手放すことができるでしょう。
お焚き上げを依頼するにあたりお布施や玉串料は必要か?といった疑問もありますが、費用については近くのお寺や神社に確認して、必要であれば用意しておきましょう。
葬儀社に引き取ってもらう
葬儀社に回収してもらう方法もおすすめです。特に葬儀を依頼した会社であれば、法要費用の内訳に処分費を含んでいることもあり、無料で回収してくれることも。まずは葬儀を依頼した葬儀社に問い合わせてみましょう。
リサイズする
リサイズして小さい遺影にしておけば、リビング寝室などで遺影の置き場を確保しやすくなります。引っ越しの際も、持ち運びが便利になりますのでおすすめです。
スキャンする
プリンタやスキャナ機材が揃っていれば、家庭でスキャンすることも可能です。
さらにスキャンした遺影写真のデータをパソコンやスマホで保存したり、スキャンした写真データをFacebookやInstagramなどのSNS上にアップしておけば、ネット環境にもよりますが、地球上のどこにいても故人の姿を眺めることができます。ミニマリストに最適の方法と言えるでしょう。
リサイズしてアクセサリーにする
遺影写真を小さくしてアクセサリーの中に入れるなど加工しておけば、どこにでも持ち歩くことができ、いつでも故人を思い出すことができます。ネックレスやペンダントとして身に付けておくことで、安心感をもたらすでしょう。
アルバムに入れる
遺影の額縁から写真を取り出してアルバムに入れて本棚にしまっておくのも、収納の面でおすすめ。遺影写真と一緒に故人と過ごした日々の想い出を一冊のアルバムにまとめておくことで、いつまでも綺麗な状態で残しておくことができますね。
遺影のよくある質問
遺影を準備する中で、「こんなことってタブーじゃない?」と不安になる場合もあるでしょう。そこで、よくある質問を2つご紹介します。
背景のない写真のほうが良い?
写真背景について「背景に他の人が映っている」「帽子をかぶっている」など心配されることがありますが、近年では、プリントショップや葬儀社がパソコンの機能で加工・修正・合成が自由にできますので、背景はあってもなくても問題ありません。
額縁は遺影専用じゃないとだめ?
遺影専用の額縁は絶対必要か?という質問も多いです。本来、フレームの選び方に規定やマナーはありません。一般的には、遺影のフレーム・額縁は黒の漆塗りが定番となっていますが、最近ではパステル調の明るい色合いも増えていますし、DIY(自分でオリジナルのものを作る)でも問題ありません。故人の好みや雰囲気にあったフレームを選ぶと良いでしょう。
遺影とは故人を偲ぶための写真だが決まりはない
遺影は故人へ思いを馳せることができる写真であり、宗教的な意味合いはなく厳密な規定もありません。
遺影は時に時代を超えて子孫たちにも見られるものであり、会ったこともない家族(先祖)と対面できる道具でもあります。遺影の中の故人は、現世を生きる私たちの濾過しきれない悩みを静かに聞いてくれるような存在として、今後さらにデジタル化が進む社会においても、遺影は形を変えながら続いてくのでしょう。