故人が天台宗で宗派に則った葬儀を挙げたいものの、天台宗がどんな宗派か理解していない人は多いはず。
名前は聞いたことがあるけれど礼儀作法や式次第が分からないとお悩みの方は、当記事を読めば全ての悩みが解決するでしょう。
当記事では、天台宗の歴史とともに葬儀の一部始終を紹介しています。
天台宗の葬儀を間近に控えている人は、ぜひ今回紹介する内容を参考に式への理解を深めてください。
天台宗の葬儀の特徴
天台宗は、中国から広まった仏教の宗派です。納骨はほかの宗派同様49日に行われます。
天台宗の葬儀は故人と参列者が一緒になって祈りを捧げることで、故人が死後極楽浄土に導かれるという考え方のもと行われます。葬儀には複数の儀式が混在しており、以下の順序で各儀式が展開されます。
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STEP1顕教法要
- 法華経を唱える
- 日々の懺悔をして仏性を高める
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STEP2例時作法
- 阿弥陀経を唱える
- 死後に極楽に行くように祈願する
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STEP3密教法要
- 光明真言を唱える
- 故人が重罪を滅ぼして多くの幸福になれるよう祈る
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天台宗ではあの世の人と現世を生きる人に隔たりを作らず、一緒に幸福になれるよう祈りを込めて読経をします。全ての人間が仏の子供であり、追求する心があれば悟りを開けると、全人類を平等視する非常に器の広い視野を持っているのです。お通夜では、法華三昧という儀式も実施。
故人に戒名を与える際には出家のために髪を剃るふりをする、剃度式が行われることでも有名です。葬儀の一番最後に施される密教法要で読まれる真言は、死後の世界で故人に幸せに成仏してほしいという気持ちが込められています。
天台宗の葬儀におけるマナーや作法
天台宗の葬儀では、ほかの宗派と違う独特のしきたりがあります。故人を弔う気持ちがあっても葬儀のマナーを知らなければ、和を乱してしまうでしょう。
これから天台宗のマナーを解説するので、ぜひ目を通してください。
焼香の回数
天台宗の焼香の回数は、特に定められていません。基本的に焼香回数は3回とされていますが、1回で終了させても問題はないのです。
通常の焼香と線香による焼香で手順が異なるので、以下の表を参考に違いを識別しておきましょう。
焼香の方法 | 手順 |
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通常の焼香 |
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線香による焼香 |
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天台宗の焼香では、使用する手や指が指定されています。葬儀の場で間違えないよう、記載した進め方をしっかり頭に入れておきましょう。
数珠の種類
天台宗では、人間の煩悩の数を表現した108個の主玉と4つの天玉がついた数珠を用います。天台宗で使用される数珠には紐が垂れている親玉も付いており、独特の形です。親玉から伸びた紐の先には弟子玉が付いています。
天台宗でない参列者は、別の宗派の数珠を使用することも可能です。一般参列者なら、数珠を持参しなくても失礼にはあたりません。
通常の数珠より大きい天台宗の数珠は、太平天台と呼ばれます。
天台宗の数珠は見た目に特徴があるので、仏具店でも目を引く存在でしょう。
数珠の持ち方
数珠の持ち方には、特徴があります。天台宗の葬儀では左手に数珠を持ち、人差し指と親指の間にひっかけて紐の房部分を下に垂らしてください。
数珠の大きさも性別により異なっており、男性は9寸で女性は8寸のものを使用します。
服装
服装の規定は、一般的なほかの宗派と同じと思って良いでしょう。親族は正式喪服を着用してください。男女別に天台宗の葬儀で好まれる服装を以下に記載しました。
性別 | 服装 |
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男性 |
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女性 |
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女性はイヤリングやネックレスなど、装飾品の着用を避けましょう。もしネックレスをするなら、パールのシンプルなものにしてください。
参列者も、黒を基調とした簡素な準喪服で式に臨みましょう。華美な格好にならないよう、ドレスコードには十分注意してください。
天台宗の葬儀におけるお布施の金額相場
天台宗のお布施は、やや高額な傾向にあります。戒名料と僧侶へのお布施を含めて、平均費用は40万円~100万円程度です。
費用相場を知らずに葬儀を催し、予想外の出費に驚愕しないよう事前に費用がどれぐらいかかるのか理解しておくことが大事です。
読経
読経に対するお布施代は、天台宗では約15万円~20万円です。寺院や地域によって微妙な誤差はありますが、最低でも15万円は必要とみておきましょう。
費用を確約できない人は、お寺に相談して取り決めてください。もしお寺への相談に抵抗がある人は、お寺との関係が長い人や葬儀社に問い合わせましょう。
葬儀社として有名な小さなお葬式では、電話にて24時間365日無料で葬儀に関する相談を受け付けています。遺族や参列者に迷惑をかけないためにも、葬儀の悩みは1人で抱え込まず専門家に持ちかけてください。
戒名料
戒名料は、僧侶へのお布施代を上回る金額を要します。天台宗は戒名の位によって等級を設けており、次の表のような料金形態になるケースが一般的。
等級 | 金額 |
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院居士・院大姉 | 100万円以上 |
院信士・院信女 | 80万円以上 |
居士・大姉 | 50万円~70万円 |
信士・信女 | 30万円~50万円 |
表の戒名料は、あくまで一例。手を組んだ寺院によって機微な変動があるので、戒名料を詳細に把握したい方はお寺に確認しましょう。
天台宗を信仰する世界では、男性は居士・女性は大姉を入れた戒名が広く好まれています。
天台宗の葬儀の費用相場
天台宗の費用相場は地域や葬儀の規模によって異なりますが、最低でも30万円は必要になるでしょう。ケースバイケースですが、200万円以上の高額場費用が必要になる事例もあります。
安い費用では済まないので、葬儀費用を負担する人は葬儀ローンを借入するなど工夫してお金を手に入れる必要があります。
天台宗の葬儀規模別費用相場は、下記のとおりです。
葬儀規模 | 費用相場 |
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通夜・告別式などを行う一般葬 | 150万円~200万円程度 |
親しい人のみで行う家族葬 | 50万円~100万円程度 |
告別式や火葬を1日で行う一日葬 | 50万円~100万円程度 |
火葬のみの直葬 | 30万円~50万円程度 |
葬儀費用は、葬儀規模だけでは決定しません、生前の故人や遺族がどんなスタイルの葬儀を挙げたいか、追加オプションはどれくらい必要かなど種々の条件で料金にも変化が生まれます。
理想とする葬儀イメージを具体化してスタッフに相談し、その後発行される見積書の金額をしっかり確認しましょう。スタッフの対応を含め、心の底から好感をもてる葬儀社を選択してください。
天台宗の葬儀の流れ・式次第の例
式次第の例や葬儀の流れを把握しておくことは、独特の風習がある天台宗の葬儀でとても大切なことです。
天台宗の葬儀がどのように順序立てられているか、下記の案内を読んできちんと頭の中で整理してください。
通夜
お通夜には、遺族が出席するのが天台宗で多くとられる形式です。お通夜の進行の一例を、下記で取り上げました。
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STEP1臨終誦経(りんじゅうずきょう)通夜前日に故人の枕元でお経を読み上げる臨終誦経が行われる。臨終誦経読まれるお経は、故人の極楽浄土行きを願う阿弥陀経。
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STEP2通夜読経(つやどっきょう)通夜の当日は朝・夕2回お経が読まれる。朝のお経は法華経を読みながら法華経が行われ、夕方には阿弥陀経が読まれる。阿弥陀経は礼儀作法を重視するため、抑揚があまりない。
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STEP3剃髪式故人が仏門に入門するために、故人の髪の毛を剃る儀式・剃髪式が執り行われる。剃髪式中には、辞親偈(じしんげ)が唱えられ出家を促す。故人の過去の行いを懺悔する懺悔文(ざんげもん)と、授三帰三竟(じゅさんきさんきょう)も唱えられる。
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STEP4授戒式(じゅかいしき)戒名を与える式として授戒式を実施。浄土宗にも共通している授円頓戒(じゅえんどんかい)で円頓戒が与えられる。位牌開眼式(いはいかいがんしき)では、位牌を読み上げて故人の魂を位牌に移送する。
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通夜では、たくさんのお経が読まれます。天台宗のお通夜は前日から始まっているので、気を引き締めて臨みましょう。
葬儀
天台宗の葬儀は、通夜と違い親族も参列可能。光明真言による葬儀式の一例を、タイムスケジュールに沿って解説します。
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STEP1導師・衆僧入堂参列者が全員揃ったら導師が入場し、開式の言葉を言う。
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STEP2列讃(れっさん)音楽に合わせて、故人の死を偲ぶ声明(しょうみょう)が唱えられる。声明が終わると、打楽器で合図が打ち鳴らされる。
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STEP3光明供修法(こうみょうくしゅほう)阿弥陀如来を入れて、故人を仏にする準備を整える。
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STEP4九条錫杖(くじょうしゃくじょう)錫杖の徳が述べられる。僧侶の後に続いて参列者が最初の句を複唱する。全文を唱える必要はない。
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STEP5随行回向(ずいこうえこう)故人の供養する声明が唱えられる。
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STEP6鎖龕(さがん)と起龕(きがん)棺の蓋を閉じる鎖龕と、棺を起こす起龕が行われる。故人を浄土に送る手ほどきをしていく。
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STEP7奠湯(てんとう)と奠茶(てんちゃ)故人にお茶を提供する奠湯と奠茶が執り行われる。
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STEP8引導故人の生前の行いを賞賛する歎徳(たんどく)が行われ、導師が霊前に進み菩薩戒偈で菩薩の心得が読み上げられる。故人の成仏を願って、引導で浄土へ故人を誘導する。
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STEP9下炬(あこ)焼香導師が円を描くように空中で焼香や松明を動かし、下炬文が唱えられる。読経が開始されたら、参列者による焼香が行われる。
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STEP10弔辞拝受と弔電拝読弔事と弔電を読み上げる。
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STEP11法施(ほうせ)読経が行われる。
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STEP12念仏・光明真言念仏もしくは光明真言の読み上げが行われる。
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STEP13総回向
生前の功徳を述べる回向文読み上げたら葬儀終了。導師が退場して出棺。
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葬儀がお葬式の中で最も長時間に及ぶ儀式です。導師が執り行う動作が多いですが、参列者が復唱する場面もあるので葬儀場で遅れをとらないよう気を付けましょう。
上記に記載した以外にも、散華という蓮華の花びらを模した紙が棺に巻かれる儀式が行われることもあります。
告別式
告別式は故人の別れを偲ぶ会で、天台宗に限らずどの宗派でも葬儀式の中で済まされるケースが一般的です。
告別式の手順は少なく、比較的記憶に刻まれやすいので安心してください。
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STEP1僧侶入場僧侶が入場して開式の辞を読み上げる。
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STEP2列讃・読経列讃終了後に読経が行われる。
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STEP3打楽器演奏観音経を読み上げ、鐃鈑打流し(にょうはちうちながし)という打楽器を打ち鳴らす。
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STEP4僧侶退場僧侶が退場する。親戚代表者が挨拶をして、告別式が幕を閉じる。
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告別式は、読経が中心です。長時間を要する儀式でありませんが、厳粛な雰囲気を大事にしましょう。
天台宗の葬儀に使うお経や道具
天台宗の葬儀では普段耳にしないような名前の道具を使い、様々な種類のお経を読み上げます。
1つ1つの特徴を覚えれば、天台宗の葬儀にもっと親しみが湧くでしょう。
法華経
大乗仏教でよく知られる経典・法華経を読み上げるは、天台宗の特徴です。法華経は「誰もが平等に仏になれる」という意味をもって唱えられます。
天台宗の開祖・最澄は、法華経の教えをとても大事にしていました。天台宗の慣わしは、開祖の意思に基づいて行われているのです。
般若心経
般若心経は様々な経典で解かれていることの要点をまとめた経典。一般的にも知名度が高く、幼い子供でも名前を知っているはずです。
般若心経では真実を見つめる知恵を「般若」とし、般若があれば不平不満を持たない「空」(くう)になれるという内容です。般若心経は、煩悩を遮断して悟りを開くために必要な経典でもあります。
木魚
木魚は、天台宗特有の仏具です。
魚の形に彫られた木を、僧侶がお経を読みながら打ち鳴らして使います。読経の際の拍取りとして使用されますが、眠気覚ましとしての役目も担っています。
僧侶が木魚倍という棒で木魚を叩くと、ぽくぽくと軽快な音が聞こえてくるでしょう。古代に目を閉じない魚が眠らない生き物だと信じられていたことから、木魚は魚の形に象られました。
錫杖
杖として僧侶が持ち歩いている錫杖は、仏教の教えを含んでいるのです。
錫杖先端にある輪には小さな輪が通されており、輪の数によってそれぞれ以下のような意味をもつとされています。
輪の数 | 意味 |
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4つ | 四諦:仏教が説く基本的な教えで、苦諦・集諦・滅諦・道諦のこと |
6つ | 六道:輪廻転生する六つの世界のこと |
12個 | 十二因縁:苦悩を断つための十二の事柄 |
錫杖経というお経も存在しており、お経には錫杖の音色を聞くとどこにいても煩悩から解放されることを願い悟りを開くことにつながるという内容が綴られています。
茶湯器
茶湯気は、お茶や水を入れる容器。浄土真宗を除く多くの宗派で使用。
蓋が付いていて、仏飯器のように毎日供える掟が定められています。
天台宗に関する知識・概要
お葬式には宗教に馴染みのない人も参列しますが、天台宗の知識や歴史を身に付ければ葬儀にも身が入るでしょう。
天台宗がどのような宗派なのかを知って、葬儀に対する感慨をより深めてください。
宗祖
天台宗の宗祖は、最澄という名前です。平安時代に中国に着いた最澄は道心を国で一番の宝だと学び、その教えを日本に天台宗として広めました。道心とは、仏の道を欲する心のこと。
中国がまだ魏だった時代に王様が宝をたくさん持っていると自慢したものの、斉王が「宝は持っていないけれど、立派な家来たちこそが国の宝だ」と語ったという資料があり、最澄はこのエピソードに多大な感銘を受けました。
「誰でも仏になれるが誰もが仏になるには、全ての人が仏の心を身に付けるべきだ。そのために埃に覆われた仏性を磨こう」最澄はそんな心構えを、天台宗の教えに注ぎ込んだのです。
本尊
特定の本尊を定めていない天台宗ですが、比較的崇め奉られているのは、以下になります。
- 阿弥陀如来(あみだにょらい)
- 釈迦如来(しゃかにょらい)
など
本尊とは、その宗派で最も崇高な存在として讃えられる神様のこと。天台宗で2月に行われる涅槃会(ねはんえ)は、本尊であるお釈迦様を弔う大事なイベントです。
宗派
宗派は複数あり、それぞれ総本山および大本山が分かれています。天台宗の宗派を、下記で解説しているので一度目を通してください。
宗派 | 大本山 |
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天台宗 | 比叡山延暦寺 |
天台寺門宗 | 園城寺(三井寺とも呼ばれる) |
天台真盛宗 | 西教寺 |
天台宗はほかの宗祖に影響を与えており、ほかの宗派と共通点が多い宗教でもあります。
教義・教え
天台宗では、全ての教えを大事にしています。
- 円
- 密
- 禅
- 戒
これらの教えを全てまんべんなく教義としてみなしており、特定の本尊を依怙贔屓するようなことはしません。仏の心を求めれば誰でも平等に仏になれると説き、経典の王者として名高い妙法蓮華経を主な経典として取り扱っています。
天台宗の教えには最澄が中国で見出した、他社を尊重して自らの誇りだと思う平和的な思考が盛り込まれているのです。
天台宗の葬儀に関するよくある質問
葬儀に参列するにあたって、天台宗の疑問点や質問を抱えたままでは不安が残るはず。
天台宗の魅力や意義を更に理解すべくよくある質問とその答えを確認し、心の霧を晴らしましょう。
天台宗におけるお供えは?
天台宗では、五供(ごくう)と呼ばれる5つの物品を備えます。五供はその名のとおり、以下の5種類の物を用意してください。
- 線香
- 仏花
- 蝋燭
- お水
- 果物やご飯
日ごろから自分達が食べている物を仏壇にお供えすれば問題ありません。自分達が手を付ける前にお供えして、仏前で手を合わせてから食べ物を下げて頂きましょう。お線香は3本用意して、香炉の中に逆三角形にお供えしてください。
天台宗の仏壇を置く向きは?
天台宗で仏壇を置く際には、仏壇の向きと本尊に注意しましょう。
具体的には、下にまとめた表を見てください。
注意点 | 内容 |
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向き | 西にある極楽浄土に向けて祈るため、東を向けて置く |
本尊 | 特定の本尊はないが、座った阿弥陀如来を祀ることが多い |
本尊を限定していないものの浄土真宗などほかの宗教で立った阿弥陀如来を祀っているため、天台宗では座っている阿弥陀如来を配置してください。あまり知られていませんが、阿弥陀如来像は立っている阿弥陀如来図よりも一般的な存在です。
天台宗の葬儀の特徴を知り故人を見送りましょう
天台宗の葬儀はほかの宗派と違い独特の儀式がありますが、難しく考えることはありません。故人が成仏して極楽浄土に旅立てるようにと、あの世での幸せを願う気持ちさえあれば天台宗の葬儀も問題なく参列できます。
論理的思考を説く宗派は多いですが、天台宗は人の精神的な部分を重視しています。誰もが平等に仏のような存在になれるようにといった最澄の思いが込められており、その真意に気付くととても平和で穏やかな宗教だと思えるでしょう。
天台宗は仏具に特徴があり、葬儀中も見慣れないアイテムが登場します。葬儀をとおして天台宗の習慣や風習を学び、故人がどのような宗派のもと人生を歩んだのかじっくり思いを馳せてみましょう。