従来エンディングノートはお年寄りの人のためのものというイメージでしたが、最近は若い人でも抵抗なく取り組める終活として広く知れ渡っています。
「無料でエンディングノートを手に入れられたら良いのに」と思う若い人のために、当記事では無料配布されている若い人向けのエンディングノートを取り上げています。
エンディングノートを書く際に気を付けたい点や、若い人がエンディングノートにどんなことを記載すれば良いのかなど、終活の悩みを解決する内容も満載。
エンディングノートの利便性やメリットを余すことなく解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
エンディングノート若い人向け|無料ダウンロード
エンディングノートは、市役所や専門家を利用して若い人でも無料で手に入れることができます。中には仏壇販売サイトでエンディングノートを取り扱っており、エンディングノートは多くの人にとって身近な存在になりつつあるのです。
本記事ではWEBサイトでエンディングノートが無料公開されているページを紹介しますが、アプリを利用する選択肢もあります。
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自治体の市役所
エンディングノートは、あなたのお住まいの地域の市役所で配布しています。市役所のエンディングノートは、テレビなどでよく見かける一般的なエンディングノートと大差ない存在。
例えば東京都足立区の市役所で配布しているエンディングノートには、以下のような項目を記載。
- 名前や年齢などの個人情報
- 自分史
- 緊急連絡先
- 死後の持ち物の処理方法
- 健康面について
- 持病について
- 希望する葬儀
- 遺言
シンプルな内容でありながら、基本を押さえたベーシックな作りになっています。お住まいの市役所に問い合わせて、無料配布しているエンディングノートで終活に向き合いましょう。
百人百想|仏壇販売サイト
仏壇販売サイトの百人百想では、和風のおしゃれなエンディングノートを無料でダウンロードできます。百人百想のエンディングノートには下のパターンがあり、パソコン上での編集も印刷して手書きでの編集もどちらも可能。
- Word形式
- PDF形式
パソコンの操作に慣れている人はWord形式のエンディングノートをダウンロードし、手書きで入力したい人はPDF形式のエンディングノートを印刷しましょう。
百人百想のエンディングノートは具体的な内容も記入できる、より終活に踏み込んだ項目を取り入れています。
- 功績や社会活動などを含めた自分史
- 資産やペットの扱い
- これからの自分の生活について
- 最期を過ごしたい環境
- 遺言
- 家族へのメッセージ
上記のように自分が歩んできた人生と最期のイメージを描ける項目が設定されており、家族やパートナーに伝えるべきことが多い方に向いているでしょう。
日刊葬儀新聞
日刊葬儀新聞のエンディングノートは、なんと130ページものボリューミーな製品です。WordのみならずキングソフトのWPS Officeにも対応しており、作成環境を選ばないところが魅力的。
自分史や家族へのメッセージを始め、希望する介護や医療についてなど今後の生活に関わる大事な情報を事細かに記載できる仕組みになっています。30代~40代など年代に分けて自分の歴史を振り返れる項目もあり、終活をしながらこれまでの軌跡を嚙み締められるでしょう。
不要なテンプレートを削除できるため、百人百想を利用すれば手作り感溢れるオリジナルエンディングノートが完成します。
いちばんやさしい終活ガイド
Excelでエンディングノートを作成したい人は、いちばんやさしい終活ガイドでエンディングノートをダウンロードしましょう。
いちばんやさしい終活ガイドのエンディングノートは、SNSなどのデジタル遺品の扱いに関する項目も設置。TwitterなどSNSアカウントを頻繁に利用する若い人には、ありがたい内容ではないでしょうか。
司法書士法人高柳事務所
家族や周りの人に伝えたいことが多い人には、司法書士法人高柳事務所のエンディングノートがおすすめです。
司法書士法人高柳事務所のエンディングノートには、以下のような項目が設けられています。
- 自分について
- ペットについて伝えたいこと
- 預貯金リスト
- 有価証券リスト
- 口座引き落としリスト
- 保険証について
- 免許証について
- 年金について
- 預貯金の相続について
- コレクションリスト
自分の情報はもちろん、遺された遺族が相続やペットの扱いに困らないようなメッセージ性の高い内容です。引き継ぎたい情報が多いなら、司法書士法人高柳事務所のエンディングノートで家族に自分の気持ちを周知させましょう。
20代や30代でエンディングノートを書くときの記載項目
20代や30代の若い人がエンディングノートを書く際は、プロフィールや資産など自分のことについて記入してからほかの項目を埋めましょう。死後SNSアカウントの管理をどうするかなど、インターネットに関する意思表示も大事です。
若い人がエンディングノートを書くときに記載したい内容を、これから具体的にピックアップしていきます。
財産・負債
現在大きな財産や財産がなくても、将来のことを考えて財産管理をエンディングノートに持ち込むことはとても大事です。家族があなたの死後困らないように、通帳の情報やクレジットカードや電子マネーに関する情報などお金の取り扱いをエンディングノートを用いて遺してください。
奨学金などローンや借金がある方は、その旨も記載しましょう。もし現在ローンがなくても40代でマイホームを買ったときに記入すれば良いのです。難しく考える必要はなく、その都度その都度資産や負債に関する情報を追記すれば良いだけ。
銀行やカードの暗証番号は記載してしまうと悪用リスクが高まるので、なるべく記載を控えてください。
SNSのアカウント
若い人の中にはSNSアカウントを複数持っている方もおり、死後のSNSアカウント運営についてを遺言として残す配慮も必要です。死後にSNSを退会してほしいのかアカウントを残しておいてほしいのか、具体的に記載してください。
アカウントのパスワードやIDなど、管理に関する項目も分かりやすく記してください。もし死後フォロワーや友人に伝えたい言葉があれば、それも記載して家族や周りの人に発信してもらっても良いでしょう。
友人・知人の連絡先
家族があなたの友人や知人全員を把握しているとは限らないので、仲が良い友人の連絡先をエンディングノートに書きましょう。友人や知人の連絡先が分かれば、家族が友人達にあなたの死を報せてくれます。
もし友人達に感謝の気持ちを伝えたいならば、連絡先と一緒にメッセージを残してください。
医療・介護時の意思表示
万が一の事故や病気に備えて、医療や介護に関する意思表示を綴っておくと安心です。
- 延命治療を受けたいか
- 自宅と施設どちらで介護してほしいか
上記のような内容を、なるべく細かく具体的に記載しておください。医療や介護に関する話題はもし意思疎通が困難になったら、家族による判断が難しいセンシティブな部分です。元気なときにしっかり希望を伝えておきましょう。
家族への気持ち
普段はなかなか家族に言えないような正直な気持ちも、エンディングノートにしたためておきましょう。自分の人生をともに歩んでくれた家族に対する感謝や、自分の死後どのように生きてほしいかなど、家族があなたの死を前向きに捉えられるようなメッセージを残してください。
財産やコレクションの管理など事務的なメッセージも重要ですが、エンディングノートを読み終えた後に家族が悲しい気持ちにならない心遣いも大切です。
エンディングノートが若い人にも必要な理由
健康な若い人は「エンディングノートなんて関係ない」と思いがちですが、若い人がエンディングノートを書くと、思いもよらないメリットが発生します。
若い人々は、終活に対して次のようなイメージを抱いていませんか?
- お年寄りが取り組むもの
- 死をイメージさせるネガティブなもの
エンディングノートを書けば、先述のイメージが一掃されるでしょう。
人生を振り返ることができる
本来は自分の死後家族が困らないように身辺整理を目的として作られたエンディングノートですが、若い人が書けば自分の人生を振り返るツールとして利用できます。これから先に挑戦したいことや目標も書けるので、学業や仕事のモチベーションアップにもつながるでしょう。
生まれてから現在の人生を書いているうちに、自分が何を思ってどんな未来に突き進んでいるのか客観的に捉えることができます。まだ年齢的に死には程遠いからと蔑ろにせず、本当の自分を知るきっかけとしてエンディングノートに手を伸ばしてみましょう。
未来に対して前向きになれる
20代や30代で終活と向き合うと、自分が歩みたい理想の未来に希望を抱けるようになります。
終活というと老後や病気になったときのために遺言を残す暗い行事というイメージですが、未来のことを考えながら自分のことを書き記していると、いつの間にか前向きな気持ちになれることも。目標を具体化することもできるので、チャレンジしたいことや取得したい資格などが明確になるでしょう。
資産状況を整理できる
エンディングノートの必須項目として資産状況が挙げられますが、資産や財産について記載すれば自分の経済状況を把握できます。
長い人生、これから結婚や出産など人生の転機が幾度となく訪れます。エンディングノートでライフプランを練っていると、何歳でどれくらいお金が必要になるかなど経済力を見据える力も身に付くでしょう。
家族の終活をサポートできる
自分が元気なうちに人生に向き合えば、両親の終活サポートにも役立ちます。
- 自分が元気なうちに両親にどんなことができるか
- 両親の死が間近に迫ったとき自分は何をすべきか
上記のような問題も、エンディングノートを書いていくうちにじっくり考えられるでしょう。「自分も両親もまだ元気だから」と後回しにせず、エンディングノートを利用して家族各々の終活と真剣に向き合ってください。
もしものときに家族の負担を減らせる
年齢に関係なく、エンディングノートは家族への負担を減らす存在です。病気を患っていなくても、死は突然訪れるもの。身辺整理をしないで死亡すると、遺された家族が手続きなどで疲弊してしまいます。
友人の連絡先や葬儀の希望などを書いておけば、家族は助かるでしょう。保有したい情報や死後にやってほしいことといった、個人的なリクエストを書いても問題ありません。分かりやすいようにリスト化して書く手段がおすすめです
エンディングノート以外に若い人が終活でできること
家族のためのメッセージや自分のライフプラン見直しは、エンディングノート以外のツールも可能。
「終活を始めたいけれどエンディングノートは少し腰が重い」という方に向けて、エンディングノート以外の終活をご紹介します。
デジタル終活
スマホやパソコンが普及した現代。デジタル機器に保存されているデータや画像を死後どのように活かすかに重点を置いた、デジタル終活も終活の一環です。
- スマホの中に誰かに伝えたいメッセージを保存している
- 遺族に残しておいてほしい写真を保存している
上記のようなケースに備えて、パスワードをメモとして書いておきましょう。メモに書かれた情報をもとに家族がスマホやパソコンを操作すれば、情報管理がスムーズに行われます。
人生設計
若いうちに行う人生設計も、終活と同意義です。エンディングノートを使わなくても自分の人生を振り返って未来の目標を考える人生設計を行えば、自分の死を曇りのない気持ちで受け止められるでしょう。
人生設計では自分がどんなことを考えていて将来どうしたいか、そのためには何が必要なのか具体的に掘り下げることができます。
断捨離
突然自分が亡くなってしまったときのために身の回りのものを整理する断捨離は、家族や友人の身辺整理を助ける大事な終活方法です。
断捨離はエンディングノートと違って、日常的にできる終活です。普段から物を溜めこまないように気を付けて、連絡先のフォルダ分けをするのも立派な断捨離。
本当に必要な物を選別する力も身に付きますし、物を大事にする心も養われます。突然亡くなったときに家族が死後の物品整理に戸惑わないように、断捨離を始めてみるのはいかがですか?
終活を相談できる相手
終活の相談は、専門家を利用することをおすすめします。死や老後を連想させる終活は、疑問があってもなかなか他人に相談しにくいもの。
終活アドバイザーやファイナンシャルプランナーといった専門家に気持ちを打ち明けることで、終活がどんなものなのかより深く理解できるでしょう。
終活アドバイザー・終活カウンセラー
終活に関する介護や葬儀・社会保険制度などの知識を有する専門家を、終活アドバイザーもしくは終活カウンセラーと呼ばれます。就活アドバイザーは資格が必要な高レベルな職業であり、一般人に相談するより具体的で解決に直結するアドバイスをしてくれるでしょう。
ファイナンシャルプランナー
終活メインではなく資産状況の整理を相談したい人には、ファイナンシャルプランナーが最適です。ファイナンシャルプランナーの専門分野はあくまでも資産管理ですが、中には終活の相談を受け付けている企業もあります。
ファイナンシャルプランナーは、事務所で面談や相談を開催するケースが一般的。オンライン相談を受け付けており会社もあり、利用者1人1人の状況に寄り添った対応をしてくれます。
死後の金銭管理や手続きを現実的に見直したい方は、ファイナンシャルプランナーを利用しましょう。
若い人向けの終活における注意点
若い人が終活を行う前に、気を付けるべきポイントにも目を向けましょう。
ただやみくもに終活を開始すると、逆に家族に迷惑をかけてしまうケースも。元の木阿弥にならないように、若い人は終活で何に注意すべきかよく考えてください。
断捨離しすぎない
断捨離はとても合理的な終活ですが、調子に乗って物を捨てすぎないよう気を付けましょう。
不要な物を整理する断捨離は、とても気持ちの良い行為。次々物品を処分したくなる気持ちは分かるものの、必要なものまで捨て捨ててしまい買い直せば出費がかさみます。
かえって生活が不便にならないよう、断捨離をするときは自身のライフプランを優先してやりすぎを防ぎましょう。
保険の加入は慎重に検討する
終活として保険に加入することは素晴らしいことですが、その保険は本当に必要なものなのでしょうか?
自分で加入しなくても、会社員ならば会社の手当てでケガや病気の医療費をまかなえるケースも。障害年金や高額療養費制度など公的な制度を使用すれば、保険加入が不要になる可能性も高いです。
公的保障の存在にも目をくばりながら、保険加入は慎重に検討しましょう。
家族に終活について話しておく
終活が独りよがりなものにならないよう、家族や兄弟に自分の終活について伝えましょう。自分の死後のことを家族に話すのは少し気が引けますが、終活はあくまでも家族の負担を軽減するもの。
自分の考えや終活の内容を話せば、家族も混乱せず死後の生活と向き合う決心がつくでしょう。
パスワード系の保管は厳重にする
エンディングノートに各種パスワードを書いたら、流出しないよう厳重に保管してください。中にはカードの暗証番号などを記載する人もいますが、もし情報流出があればパスワードの再発行やサービス一時停止の手続きなど面倒な作業が発生します。
パスワードや暗証番号を記入するのは、そもそもリスクがかなり高い行為。どうしてもパスワードを記しておきたい人は具体的な数字を書かず「学生時代の出席番号」や「結婚記念日」などヒントを添えてメッセージを残せば、あなたを熟知している家族や友人に分かってもらえるはずです。
エンディングノートは若い人向けに無料ダウンロードも可能
エンディングノートと聞いてもピンとこない若い人は多いかもしれませんが、今やエンディングノートは様々なサイトで手軽に無料ダウンロードできます。
健康な人でも、死は突然訪れるもの。残された家族や恋人が戸惑わないよう、自分が後世に残したいメッセージをエンディングノートに綴ってください。
エンディングノートを書けば、自分の人生を振り返ることもできる上に明るい未来像を描けます。普段の生活では気付けないような発見を楽しむために、ぜひポジティブな気持ちで終活を始めてください。