亡くなってからの流れや葬儀までの日数は、どのくらいなのでしょうか。
遺族は大切な人を失いショックや喪失感が強い中で、葬儀の手配や手続きを進めていかなければなりません。それは家族が余命宣告を受け、少なからず心の準備をしていた場合だけではなく、ある日突然やってくることもあります。
そのときになって慌ててないよう、亡くなってからの流れや日数を事前に把握しておきましょう。
亡くなってからの流れや葬儀までの日数
亡くなってから葬儀までの日数は、あくまでも平均ですが3~5日となっています。
火葬場が空いていればすぐに火葬できると思っている人が多いのですが、亡くなってすぐに葬儀は行えません。「墓地、埋火葬に関する法律」の第3条により、死亡後24時間以上が経過しないと火葬はしてはいけないと決められているからです。
医学が今のように発展していなかった時代には、死亡診断後に蘇生した例があったためで、現代の日本では起こり得えませんが、法律では今も禁止されたままとなっています。
葬儀までの日数・期間が空いてしまう理由
大切な人を失った悲しみは深く、亡くなったと理解していても、遺族はなかなか葬儀を行う決心がつかないもの。こうした場合は、葬儀までの日数が空いてしまうでしょう。
しかし、葬儀までの日数が空いてしまうには、心理的な面以外にも様々な理由があります。
死因が分からない
死因が分からない場合は、警察が介入し検視または解剖が行われます。
それぞれにかかる日数は以下のとおり。
事件性が疑われる場合に行われるもの | 日数 |
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検視 | 数時間~1日程度 |
解剖 | 1週間~1ヵ月程度 |
検視になっても、病歴があり、ご遺体に不審な点がなければ時間は長くはかかりません。すぐに死体検案書(死亡診断書と同じもの)が作成されるので、葬儀までに長い日数が空くことはないでしょう。
ただし、検視で死因が特定できずに解剖になると、ご遺体の状態などによっては長く時間が必要になり、葬儀までの日数は空いてしまいます。
事故で亡くなった
事故死には、必ず警察が介入します。
ご遺体の損傷が激しい事故では、死因の特定だけではなくDNA鑑定が必要な場合もあり、1ヵ月以上ご遺体が家族の元に戻ってこないこともあるため、その分葬儀までに日数を擁します。
火葬場の予約が取れない
日本は、葬儀の99.9%が火葬です。法律上、埋葬も行えますが、埋葬を許可している自治体が少ないため、火葬を行わざるを得ないのが現状です。
また、火葬場の数は自治体によって差があり、特に都会は人口に対して火葬場の数が足りていません。東京都や神奈川県などでは10日以上待ったケースもあり、北海道の札幌市は一般的には定休日としている友引も火葬場を稼働をするか検討しているとのこと。今後もこのような事態は続くと見られています。
亡くなってからの流れ
家族として、故人の最期をしっかりと見届けてあげたいと思うのではないでしょうか。
亡くなってから葬儀までの流れをあらかじめ知っていれば、いざというときに困ることはありません。
亡くなってからの流れやを時系列で解説します。
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STEP1危篤・ご臨終
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STEP2親族に連絡
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STEP3末期の水・エンゼルケア
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STEP4死亡診断書の発行・死亡届の提出
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STEP5葬儀社に連絡
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STEP6ご遺体の搬送・安置
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STEP7葬儀社と打ち合わせ
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STEP8宗教者・菩提寺などへ連絡・手配
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STEP9訃報連絡
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STEP10納棺・通夜
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STEP11告別式
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STEP12出棺・火葬
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STEP13お骨上げ
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危篤・ご臨終
危篤とは、命の危険が差し迫った状態を指す言葉です。担当医師から危篤と告げられたら、本人が最期に会いたいであろう人に連絡をしましょう。
医師は、心肺拍動停止・呼吸停止・脳機能停止の3つの徴候を以て、死亡と判断します。
親族に連絡
医師から死亡宣告を受けた後は、親族へ逝去の連絡を行います。連絡をする順番は故人に近しい人から始めますが、手段は特に決まっていません。電話が一般的ですが、人数が多ければLINE・メールなど連絡がしやすい方法を選びましょう。
末期の水・エンゼルケア
末期の水とは、臨終に立ち会った人で行われる宗教儀礼で、喉を潤して安らかに旅立ってほしいとの願いを込めたもの。水を含ませた脱脂綿やガーゼなどで亡くなった人の唇を濡らし、「死に水をとる」とも呼ばれます。
エンゼルケアはご遺体に行う見繕いや死化粧を指しますが、病院で亡くなった場合は医師や看護師が行う医療処置(傷口の縫合、点滴を外すなど)も含みます。
死亡診断書の発行・死亡届の提出
病院で亡くなると、医師が死亡診断書を発行します。自宅で亡くなった場合はかかりつけ医がいればかかりつけ医が死亡診断書を、警察を呼んだのであれば死体検案書が発行されます。
死亡診断書(または死体検案書)には死亡届が付帯しているため、必要事項を記入し、役所に提出しなければ火葬が行えません。
死亡届は葬儀社が提出を代行しているため、相談してみましょう。
葬儀社に連絡
病院には長くご遺体を安置しておけません。そのため、逝去後は病院以外へ搬送する必要があります。葬儀社が決まっている場合は、速やかに連絡をして搬送の手配を行いましょう。
葬儀社が決まっていないのであれば、病院から紹介された葬儀社に搬送を依頼するのも一つの手です。ただし、依頼するのは搬送のみで、葬儀はすぐには決めずに複数の葬儀社から見積もりをとり、希望するプランや費用などを比較してください。
短い時間しかありませんが、ここで妥協をして後悔する遺族は多いので納得できるまで検討しましょう。
ご遺体の搬送・安置
ご遺体の搬送は自宅または斎場の安置室が多いです。自宅への搬送を希望しても集合住宅で2階以上、エレベーターなどなどの場合は搬送が難しい可能性もあります。
葬儀社と打ち合わせ
葬儀の形式や会場、日時、参列者、プラン、予算などを決めます。僧侶を呼ぶ場合は、僧侶の都合などによって葬儀の日時の変更が必要なケースもあるため、先に予定を聞いておきましょう。
宗教者・菩提寺などへ連絡・手配
仏式の葬儀では僧侶に読経と戒名をお願いするため、菩提寺があれば連絡をします。菩提寺がない場合は、葬儀社に相談すると地域の僧侶を紹介してもらえたり、僧侶手配サービスの利用ができます。
訃報連絡
訃報の連絡は、親族、友人、知人、会社・学校関係者の順で行います。手段は特に決まっていませんが、電話もしくはメールが一般的。
訃報の連絡と同時に葬儀の日時などを伝えますが、家族葬など小規模で行う予定であればその旨を丁寧に伝えておきます。
納棺・通夜
ご遺体を棺に納めて旅立ちに向けて支度をする儀式を納棺といい、体を清める湯灌を始め死化粧や死装束などがあります。
通夜は葬儀の1日目の夜に執り行い、18~19時から開始され1~2時間ほどで終わります。
告別式
2日目(通夜の翌日)の午前中に執り行われることが多い葬儀・告別式は、近年は明確な区切りがなく行われる場合が多いです。
しかし、厳密には葬儀は宗教儀式であり告別式は社会的儀式のため、葬儀に知人や会社関係者などは参列しません。
出棺・火葬
告別式が終わると、棺に花を入れて故人との最期の別れを行います。出棺後は棺に蓋をしてしまうため、故人の顔が見られる最後のタイミングとなります。
棺を霊柩車に納めた後、喪主が参列者に挨拶をして火葬場へと向かいますが、火葬場に同行するのは遺族と近親者、故人とごく親しかった友人のみ。それ以外は、その場で解散となります。
お骨上げ
火葬場に着くと、火葬炉の前で「納めの儀(または納めの式)」を行います。僧侶が読経を行いますが(炉前読経といいます)、火葬場の都合や地域性などによっては炉前読経を行わないケースもあります。
火葬が終わるまでは1~2時間ほど。控室で待ち、終わったら再び火葬炉の前に戻ってお骨上げ(収骨)を行います。
亡くなってからの例外的な流れ
病院の医師やかかりつけ医が死亡診断書を作成するのは、病死や事故死、自然死など。自然死とはいわゆる老衰を指し、加齢に伴い臓器の働きの低下が原因で亡くなったとされるものです。
しかし、病院で亡くなれば病死、事故で運ばれてきたから事故死と断定はできません。死因に不審な点があれば、医師は異状死として警察に届け出を行う必要がありますが、その場合の流れはどのようになっているのでしょうか。
また、日本では信仰の有無に関係なく、葬儀の9割が仏式で行われています。仏教以外の宗教の葬儀までの流れはあまり知られていません。
両方のケースについて解説しましょう。
事件性が疑われる場合
- 事故死
- 自死
- 災害死
- 孤独死
- 急死
病院で亡くなっても、病気以外が死因であると疑われると検視や解剖が行われます。
また、病院以外で亡くなった場合では、かかりつけ医が病死や自然死と診断がつけられなければ検視や解剖が行われます。病院以外で亡くなると多くは検視や解剖の対象となるので、ご遺体に触れたり動かしたりしないようにしましょう。
検視や解剖によって死因に事件性がないと判断されると死体検案書が作成され、以後は病死や自然死と同様の流れになります。
仏教以外の宗教である場合
日数 | 仏式(仏教)の流れ | 神式(神道)の流れ | キリスト式の流れ |
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1日目 | 臨終 | 臨終 | 臨終 |
2日目 | 葬儀社と打ち合わせ・納棺 | 葬儀社と打ち合わせ・納棺 | 葬儀社と打ち合わせ・納棺 |
3日目 | 通夜 | 通夜祭・遷霊祭 | 通夜式 |
4日目 | 葬儀・告別式・火葬 | 葬場祭・火葬祭 | 葬儀・告別式 |
宗教の違いに関わらず、亡くなってから葬儀までの流れは基本的に同じですが、仏式と神式では死生観の違いによって、似た儀式でも意味合いは変わってきます。
また、キリスト式では本来通夜式は行いません。日本の仏式に慣れた参列者のために、故人にお別れを伝える場として「通夜のつどい」が設けられています。
葬儀の日程の決め方
葬儀は亡くなってから何日後までに行わなければならないなど、決まりはありません。
しかし、「墓地、埋火葬に関する法律」の第9条には、埋葬または火葬を行う人がいない場合などには市町村長が代わりに行うと記されています。遺族が「故人の体を残しておきたい」と火葬を行わなければ市町村の条例違反や、刑法190条の死体遺棄・損壊罪に該当する可能性があるでしょう。
また、葬儀までの期間が長くなるとご遺体の維持が大変になるため、できるだけ速やかに日程を決める必要があります。
なお、海外など遠方からご遺体を搬送するなどの理由で、エンバーミング(死体防腐処理)が行われた場合は10日~2週間は安全に保存できますが、IFSA(一般社団法人日本遺体衛生保全協会)では保存期間は50日を限度と設定しています。これは宗教儀式の49日までと考えられているので、目安としてください。
火葬場・葬儀場の空き
葬儀の日程を決めるときは、火葬場の予約から行います。
一般的に火葬は葬儀・告別式の後に行われるので、葬儀の日程が決まってから火葬場を予約すれば良いと思うかもしれません。しかし、近年は火葬場の不足が深刻化し、特に都心は混雑が激しく希望の日に必ず予約が取れるとは限らないのです。
そのため、まずは火葬場を予約して日にちを決め、それから火葬当日に葬儀・告別式、前日にお通夜が可能か葬儀場の空き状況を調べるのが良いでしょう。
親族や参列者の予定
故人の配偶者や子どもは、必ず葬儀に参列できるように日程を調整します。
海外赴任中や海外留学中などで移動に時間がかかる場合は、葬儀の日程を後にずらす必要があるでしょう。
故人と親しかった親族にも同等の配慮を行うか、葬儀日程を決めてしまう前に連絡をして都合を確認するのが良いでしょう。
僧侶の予定
菩提寺がある場合は、事前に僧侶に連絡をしておきましょう。
土日やお盆、年末年始などは僧侶の都合がつきにくく、スケジュールが合わない可能性があります。
なお、菩提寺がなければ、葬儀社に相談をしましょう。希望の宗派などに合わせ、地域のお寺や僧侶依頼サービスを紹介してもらえます。
友引以外の日
友引に葬儀を行うのは避けられています。友引という字面が「あの世に友を引いていく」と解釈できるのがその理由ですが、実は友引に葬儀を行っても問題はありません。
そもそも友引は元は共引を書き、勝負のつかない引き分けの日という意味でした。それが友引へと変化すると、本来の意味とは違う受け取り方がされるようになったのです。
とはいえ、こうしたイメージによって友引に葬儀や火葬を避ける人は多く、利用者が少ないことから火葬場は友引を定休日としています。友引の前日にお通夜を行ってしまうと翌日に火葬ができません。
また、友引にお通夜を行えば葬儀は友引を避けられるのですが、友引の翌日の火葬場は大変混み合い予約が取りにくくなります。
葬儀までの流れでトラブルにならないポイント
亡くなってから葬儀の手配をするまでの時間はごくわずかです。
後々、トラブルに巻き込まれないためにも、あらかじめ以下の準備を進めておきましょう。
現金を引き出しておく
個人名義の銀行口座は、本人が死亡した旨を銀行が知ると出入金が停止されます。
故人の口座のお金を葬儀費用に充てる予定がある場合は、事前に現金を引き出しておくと安心ですが、たとえ本人が用意したとしても、預金の引き出しが生前贈与にあたると見なされると税務局の調査が入る可能性があります。
故人の口座からお金を引き出した場合は、葬儀費用に使ったと分かるようにレシートや領収書などは捨てずに取っておきましょう。
葬儀社を決めておく
近年は終活が定着しています。
生前に自分や家族の葬儀について話し合う雰囲気が整っているので、複数の葬儀社から見積もりをとってじっくりと比較・検討しておきましょう。
ご遺体の安置先を決めておく
ご遺体の安置場所は以前までは自宅が多かったですが、近年は様々な事情により葬儀社や斎場の安置場所、または火葬場の安置場所を利用するケースが増えています。
「最期は自宅に帰してあげたい」と思っても、アパートやマンションのような集合住宅では搬送が難しい場合が多いです。
葬儀社が決定したら、ご遺体を安置しておく場所を決めておきましょう。
亡くなってからの流れで日数が空く場合によくある質問
葬儀に関する悩みや疑問は、どこに尋ねたらよいのか悩んでしまうもの。
よくある質問をまとめたので、参考にしてください。
今日亡くなったらいつ葬式をする?
「墓地、埋火葬に関する法律」により、死後24時間が経過すれば火葬を行えます。
亡くなった日を今日とすると、お通夜は最短で翌日、葬儀・告別式は翌々日。亡くなった時間が遅い場合は、24時間の経過時点によってはお通夜が3日目、葬儀・告別式が4日目になります。
日数 | 流れ |
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1日目 | 亡くなった日 |
2日目 | お通夜 |
3日目 | 葬儀・告別式 |
亡くなってから葬儀まで1週間の仕事は休める?
忌引き休暇は法律で決まっているものではなく、企業によって独自の期間を設けている場合がほとんどです。
一般的には、以下の日数が目安となります。
故人との関係性 | 忌引き休暇の日数 |
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配偶者 | 10日 |
両親 | 喪主を務める場合は10日、それ以外は7日 |
子ども | 5日~ |
祖父母、兄弟姉妹 | 3日 |
叔父叔母、孫 | 1日 |
配偶者の両親 | 3日 |
配偶者の兄弟、祖父母 | 1日 |
亡くなってから葬儀まで1週間休めるのは、配偶者や両親、子どもが亡くなった場合のみと分かります。
亡くなってからの流れで日数を確認したいときは葬儀社に要相談
亡くなってからの流れや日数は、お通夜まで2日程度、お葬式や火葬までは3日程度が一般的ですが、様々な理由でこれよりも長くなってしまうことがあります。
特に病院以外で亡くなった場合は、ご遺体に触れたり動かしたりすると、その後の警察の検視が長引いてしまい、葬儀までの日数も伸びてしまいます。
亡くなってからの流れや日数について詳細を知りたい方は、専門のスタッフが無料で365日いつでも相談に対応しているので、葬儀や法要について気軽に連絡をしてみましょう。